パウロヴィッチの穴
くろパパ咽頭癌確定からの ”平成のアダムスファミリー”271日間。

状況は分からぬまま

 
2006年4月22日。北京旅行から帰って来た翌日。
 
 
 
 
 
くろパパからも他の家族からも特に父の身体に関する連絡無し。
 
時々思いついたようにFAXをするも、お互いにたわいのない日常の報告。
 
1週間留守にしていたので、何か連絡があったかもしれないと思い
 
北京報告がてら、実家へFAX を入れてみる。

 
 
夜、父から電話。声がまたヒドイことに。
 
大丈夫なのか。病院には行ったのか。とつい問い詰めてしまいました。
 
仕事が忙しくて、なかなか病院に行けなかったが
 
再来週の5/2には検査のため病院に行く。
とのこと。
 
 
 
喋る声が苦しそうなため、検査の結果が出たら連絡をくれるように頼んで
 
電話を切る。
 
その後マヨに 「くろパパ、やはり癌かもしれない」 と話して
 
日本への航空券の値段や時間など調べ始める。

 
 
 
N病院の理事長おやびんにもメール
 
すぐに返信はあったものの
 
確実に状況は良くない。すぐに帰れる準備はしておくこと。との文面。
 



検査予定日は5月2日。
 
本当に癌だったらどうしよう。あの声だと肺?もしくは食道か咽頭か。
 
どれにしても、本人がその後過酷な状況下におかれる事は間違いない。
 
でも、検査結果が出るまでは。。。焦らない焦らない。
 
と、自分に言い聞かせて連絡を待つことにしました。
 

この辺りから、夜寝付けない日が多くなってきたのであります。

 

 
 
 
 
 
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空白の2ヶ月

 
2006年3月某日。
 
 
 
 

 
 
夜、くろパパから国際電話
 
先月の「妙な声」が少し良くなっているように思えました。
 
ガラガラしているといえばガラガラ声なのですが
 
少しかすれているくらいだったように記憶しています。







まだ検査段階で白黒つかないにしても
 
もうすでにJ医大医療センターへ行って診察を受けたはず。。。
 
と思いながら、3月も下旬になろうかというのに
 
実家へ確認の電話をできないでいました。
 
J医大医療センターの件はおやびんからしか聞いていなかったからです。
 
何より父本人が一番動揺しているワケですし、敢えて聞き出すことはしませんでした。 
 
 
 
この日の電話でも、日常的な会話を交わしていたのですが
 
父から突然 
 
 

 
 
(-_-) ところで・・・
  
 
N病院の理事長先生から最近連絡あるか?
 
 
 
 
 
父の不安をよく表している一言だと思いました。
 
もし自分の体に何かあれば、おやびんから私へ緊急連絡が行くはずだ。
 
という彼の勘は大正解です。
 
不安材料を増やす必要もないので当然シラを切りました。

 
 
 
 
(´・ω・`) 理事長から?特にないよー。
 
ああ、なんだかずいぶん前だけど
 
「お父さんが風邪ひいてたよ。」って言ってた。
 






(∀`;)ゞ そうかそうか。ならいいんだ。うんうん。


 
 
 
 
 
まったくもって分かり易い男である。
 
結局J医大医療センターの報告はないまま、電話を終わらせることとなり。。。
 
 
 
この後も2006年5月、東大病院に父が入院する直前まで
 
J医大医療センターでの診察や検査のことについて
 
なぜか我々くろ家夫婦には知らされなかったのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
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Dr.からの電話


父の電話から何日か後の夜。2006年2月中旬。
 






 
日本で私が勤めていたN病院の理事長から国際電話が入る。
 
理事長(通称おやびん)は内科医であり、腎臓の権威であります。
 
電話のあった、この日の午前中
 
 


パ> 喉が腫れて、風邪っぽい と父が訴え、受診した際に
 
 

理> 心臓の事もあるし、念のため大きな病院で診てもらいましょうか。
 
 


と、電車で15分ほどのワリと近くにあるJ医大病院医療センターを紹介したとのこと。


※ 父は2001年末に心疾患が分かり、以前は隣市のK市立病院で検査・投薬を受けていたものの症状が安定したので2005年からはN病院で薬を貰っていました。近所でしたし、理事長夫妻とは家族ぐるみでのお付き合いもあったので多少のワガママが通りやすかったのです。




 
 
 
上記は、建て前上の処置で
 
実際に診察したおやびんは、その尋常ではない喉の”硬い腫れ”に敏感に反応し
 
耳鼻咽喉系もしくは気管支系専門医のいる病院を父に紹介したのです。


 
 





 
私との電話口で、おやびん曰く
 
 

普通の腫れではない。悪性良性あるけれども 腫瘍 だと思われる。
どちらにしても早急な対応が必要。
 

 
 

おやびんは J医大医療センターの診察を可能早期で3月上旬に予約してくださいました。
 
この時から、私の中で何かが音を立てて崩れ始めていたのは間違いない。




 
 
 
 



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ムスメ。

《くろうさ》

くろうさ

上海生活3年生。専業主婦。


父。

《くろパパ》

くろうさの最愛の父親。

 

2007年1月逝去。61歳。

生前は経営コンサルタントに従事。

 

登場人物

《マヨ》

  くろうさダンナ 上海リーマン

 

《くろママ》

  くろうさ母親 乳ガン歴2回

 芸術家 着物デザイナー

 

《バカ兄》

  くろうさ3兄妹長兄 某出版社勤務

 

《ダメ兄》

  くろうさ3兄妹中間兄 某ベンチャー勤務

 

《おやびん》 元勤務先病院理事長

 

《姐さん》 元勤務先病院直属上司Dr.

 

 

用語解説

《パウロヴィッチ》

くろパパのカトリック洗礼名が「パウロ」

だったことから、なんとなく。

 

《穴》

くろパパの咽頭癌摘出後

喉仏の下、ちょうど両鎖骨の間に

直径約4cmほどの穴が作られ

肺と直結して呼吸をしていた、その穴。

 

《咽頭癌》

鼻の奥から喉にかけて位置する器官で

場所により上・中・下と分類されるが

くろパパは喉の部分の下咽頭癌。

 

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