パウロヴィッチの穴
くろパパ咽頭癌確定からの ”平成のアダムスファミリー”271日間。

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家族との確執

 
2006年5月18日。くろパパ東大病院へ入院の日。 
 
 
 



いつから日本へ行こうか迷っていました。
 
病状を考えたら、すぐにでも行きたい気持ちはあったものの
 
ただ上海から急いで駆け付けたとなると・・・
 
父は余計に自分の病気を心配してしまうような気がしたのです。
 
 
 
 
もうひとつ、日本へすぐには行けない理由がありました。
 
それは私と ”父以外の家族” との不和。
 
 
ダンナの上海赴任が決まる直前。忘れもしない2004年の大晦日に
 
長兄であるバカ兄が軽口をたたいたことから始まり
 
それ以来、母親・長兄タッグ vs くろうさ家 という構図になっているのです。
 
以前から「家族からの連絡がない」と言うことを書いていましたが
 
母から1度連絡があっただけな上に
 
彼女からは「みんな迷惑するので日本に来る必要はない。」と言われました。
 
母親だけではなく二人の兄達からも一切、何も、うんともすんとも
 
連絡や詳細情報をもらえず
 
唯一仲違いをしていない真ん中のダメ兄に「どんなカンジ?」とメールを入れてみても
 
なんだかハッキリしない、アホみたいな返答が返ってくるだけ
 

 
 
父親が末期の癌。入院して手術するかもしれないというのに
 
詳細どころか「来る必要がない」「迷惑だ」とは
 
何をどのように考えれば言えるのか理解不可能でありました。
 
 
父が患った病に対する認識が足りなく、治るとでも思っているのか。
 
それとも病に冒された人間よりも自分たちの感情が大事だとでも言うのだろうか。

 
 
 
後に分かった事ですが、正解は両方。
 
あまりにも幼稚で浅はかと思われる彼らの言動に苛立ちを覚えながらも

また2年前の大晦日のように、あることないことを罵られ
 
誰もフォローしてくれない事態に陥るかもしれない と思うと
 
日本行きの航空券やホテルの手配を出来ないままでいたのです。
 
 
くろパパとの時間。あと255日。

 
 
 
 
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《くろうさ》

くろうさ

上海生活3年生。専業主婦。


父。

《くろパパ》

くろうさの最愛の父親。

 

2007年1月逝去。61歳。

生前は経営コンサルタントに従事。

 

登場人物

《マヨ》

  くろうさダンナ 上海リーマン

 

《くろママ》

  くろうさ母親 乳ガン歴2回

 芸術家 着物デザイナー

 

《バカ兄》

  くろうさ3兄妹長兄 某出版社勤務

 

《ダメ兄》

  くろうさ3兄妹中間兄 某ベンチャー勤務

 

《おやびん》 元勤務先病院理事長

 

《姐さん》 元勤務先病院直属上司Dr.

 

 

用語解説

《パウロヴィッチ》

くろパパのカトリック洗礼名が「パウロ」

だったことから、なんとなく。

 

《穴》

くろパパの咽頭癌摘出後

喉仏の下、ちょうど両鎖骨の間に

直径約4cmほどの穴が作られ

肺と直結して呼吸をしていた、その穴。

 

《咽頭癌》

鼻の奥から喉にかけて位置する器官で

場所により上・中・下と分類されるが

くろパパは喉の部分の下咽頭癌。

 

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