パウロヴィッチの穴
くろパパ咽頭癌確定からの ”平成のアダムスファミリー”271日間。

向き合う勇気


2006年5月11日。くろパパから病状報告の電話。
 
 
 
 
 
くろママからの電話を受けた2日後。
 
20時くらいだったかな。
 
父から電話がありました。その日のメモ。
 
 
 

『父からTel。声ほとんど出ない。
 
気道の1つが腫瘍で潰れ食事するにも辛い。
 
ワーファリン で術前入院が長めになりそう。
 
声にならない声だが聞いて少し安心。来週の入院で間に合うのだろうか』 

 
※心臓のために処方されていた薬。血栓をできにくくする作用があり出血の際には血が止まりにくい事から、手術や抜歯などの前後には、担当医と相談して薬の服用を一時中断しなければなりません。 
 
 
 
 
 


母から連絡あったか〜。と、ほとんど出ない声で話す父。
 
 
そして18日からの入院に関しては
 
 
どうしても、やっておかなければならない講演があるので
 
それを終わらせた翌日からにした。
 とのこと。
 
今月末も来月も仕事は山盛り入っているが仕方ない。
 
キャンセルするしかないんだよ。。。忙しい最中だったんだけどなぁ。


 
 
 

 
会社の社員達にも今月で引退するって連絡したよ。
 
引退のない仕事だと思ってやってきたけど
 
いい潮時だよな。そろそろ終わりにしなさいって神様が言ってんだ。
 
でも大丈夫だよな?10日間くらい延ばしても間に合うよな??
  
 
 
 
 
 

って私に聞かれても・・・(-_-)
 
 
 
 

 
 
(;-_-)y− 問題はないと思うけど・・・
 
食事も呼吸も辛いんじゃないの?主治医の先生はなんて?


 

(∀`;)ゞ 早いに越したことはないって・・・。 
 
 
 
(*´ー`)y− でも、仕事あるもんね〜。大の男が即入院なんて無理だよ(笑 
 
 
 
(´〜`;) そうだろ〜?すぐなんて無茶だよなぁ。 
 
 
 
( -人-) 手術はいつ頃になりそうなの?
私入院に合わせて行こうと思ってるんだけど。
 
 
 
 
(ノ◇≦。) しばらく検査するから、今月末か来月頭だな。
水曜日が手術日なんだよ。
 
 
 
 
(o ̄∇ ̄) 分かったよ。間に合うように行くからね。 
 
 
 
(・ω・`) 来れるのか? 
 
 
 
(*^-^)b あたりまえでしょ。 
 
 




出ない声とはいえ、電話で話して少しホッとしました。
 
と同時に娘に心配をかけないようになのか
 
自分の病気を分かっていないのか分かっているのか平然と話しをする父。
 
声帯を取るということは、父の作り上げてきた物すべてを取り去ってしまうのに等しい。
 
心中おだやかではないはずなのに。。。
 

 
淡々と入院や手術のことを話してはいたが、眠りにつくときや
 
ひとりになった時に襲いかかる父の不安を思うと、また涙が出そうなのでした(T_T)
 
そこはグッとこらえて、私も極力明るい声で応える。
 
 
 
父も自分の病気に挑んでいる。いえ、挑むしかないのです。
 
諦めたら何もかも終わってしまうのですから。
 
私も、絶望を感じてビービー泣いているのではなく、諦めずに父を支えなければ。
 
今まで、何があっても私を守ってくれた父のように
 
これからは私が父を守り、支えようと思った夜なのでした。
 
けして諦めさせはしない。
 
例えどんな姿になろうと誰が何と言おうと神様なんていなくても。
 
私は希望を唱え続けよう。絶対に良くなるという希望を。
 
 

 
くろパパとの時間。あと262日。
 
 
 
 

 
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ムスメ。

《くろうさ》

くろうさ

上海生活3年生。専業主婦。


父。

《くろパパ》

くろうさの最愛の父親。

 

2007年1月逝去。61歳。

生前は経営コンサルタントに従事。

 

登場人物

《マヨ》

  くろうさダンナ 上海リーマン

 

《くろママ》

  くろうさ母親 乳ガン歴2回

 芸術家 着物デザイナー

 

《バカ兄》

  くろうさ3兄妹長兄 某出版社勤務

 

《ダメ兄》

  くろうさ3兄妹中間兄 某ベンチャー勤務

 

《おやびん》 元勤務先病院理事長

 

《姐さん》 元勤務先病院直属上司Dr.

 

 

用語解説

《パウロヴィッチ》

くろパパのカトリック洗礼名が「パウロ」

だったことから、なんとなく。

 

《穴》

くろパパの咽頭癌摘出後

喉仏の下、ちょうど両鎖骨の間に

直径約4cmほどの穴が作られ

肺と直結して呼吸をしていた、その穴。

 

《咽頭癌》

鼻の奥から喉にかけて位置する器官で

場所により上・中・下と分類されるが

くろパパは喉の部分の下咽頭癌。

 

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