パウロヴィッチの穴
くろパパ咽頭癌確定からの ”平成のアダムスファミリー”271日間。

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咽頭癌との9ヶ月。のはじめに

 
こんにちは。上海蟹大好きくろうさです。




 
つい先日の2007年1月末。

 
くろうさ最愛の父「くろパパ」が逝去しました。

 
私自身にとっては、あまりにも突然で早すぎる父親の死であります。

 
 


 
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病院食

 
 
2006年5月29日。東大赤門で記念写真を撮る。
 
 
 
 
お昼12時半より病院で父と面会。
 
病院から提供されているお昼ゴハンは、ほぼ手つかずで残されていました。
 
何事もなかったかのようにTVに見入っていた父に
 
どうしたのか!?と問いただすと
 
 
「食べられない」 
 
 
とのこと。本日のメニューは・・・うどん。
 
癌が大きくなり気道・食道共に圧迫されているため
 
麺類のような吸い込む系の食べ物は喉に通りにくく、咳き込むという。
 
付け合わせのヒジキ煮物も中途半端な汁気にして
 
ヒジキほどの大きさでは細か過ぎて喉に引っかかるのだとか。
 
結局デザートのゼリーしか食べていないとのこと。
 
入院してからというもの看護師または看護助手に、その旨伝えてはいるが
 
3〜4回に1回は麺類が出る!!と、ややお怒り気味の父でありました。
 
 
 
私からも看護師に食べられない旨を伝えましたが
 
どんなに大病していても、個々のニーズに対応するのは難しい事なのでしょうね。
 
父からは「ご飯粒も食べにくい」との訴えもあり
 
明日からは、毎回何か食べやすいものを買ってくるからと、なだめました。
 
 
 
午前中は微熱。午後は36.7℃。
 
元々痩せっぽっちの父なので、食事も上手にとれないとなると
 
手術の際の体力維持に問題が出ないのかどうか、気になるところです。
 
 
 
 
 
15時過ぎまで父と過ごした病院からの帰り際。
 
せっかくなので・・・東京大学の赤門で記念撮影(笑
 
父のうどんが脳裏から離れず、赤門近くのラーメン屋さんで遅い昼食をとりました。
 
久しぶりの日本のラーメン。脂っぽくて、しょっぱい。。。
 
 
 
 

 
くろパパとの時間。あと244日。
 
 
 
 
 

 

 
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夫への気遣い

 
 
2006年5月28日。マヨ上海へ戻る。
 
 
 
 
前日ダメ兄との食事の後、若い頃行きつけだった池袋の『HAVANA CLUB』にて
 
マヨとふたり飲んでいたところ旧友が集まってくれました。暫し憂鬱を忘れ鬼飲み(^^;)
 
 
 
この日の午前中は二日酔いのため動けず、お昼から父の病院へと出向きました。
 
お昼ゴハンが終わる頃の13時前に病院へと顔を出したところ
 
少し父の顔色が優れない様子。やや黄色っぽいような。
 
本人に聞くと別段変わりはないとのことで、父とマヨ・くろの3人でたわいない話をし
 
14時半にはマヨを空港まで送るため、今日の所は父とお別れ。
 
前日の帰り際に見せたような寂しい顔は見せないでくれた父ですが
 
夫を見送りに行く時間があるのであれば、父の側に居たいのが本音。
 
 
 
しかしながら我が夫にも迷惑というか心労をかけているわけですし
 
いつまでになるか分からない私のホテル住まいで
 
彼の心中にはお金の心配もあるでしょうし
 
こんな時こそ、せめて夫婦間の諍いを回避するためにも見送りは必要だと考えました。
 

 
 
 
マヨを成田から飛行機に乗せたあと、ひとり都内へ戻る車内にて
 
再度、病院へ行くつもりでしたが
 
時刻はすでに17時半。病院へ着く頃には19時。
 
母や兄達と顔を合わせたくないので、池袋のホテルへ直帰することにしました。
 
まだ日本3日目だというのに、ガックリと疲れた気がした夜でした。
 
 
 
 
 
くろパパとの時間。あと245日。
 
 
 
 
 
 

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あと何回会えるのか

 
 
2006年5月27日。くろパパとマヨ再会。
 
 
 
 
 
 
前日、高円寺で飲み過ぎたせいで朝からカラダが重い。
 
飲んだあと、牛丼食べたせいです(-_-)
 
この日は高円寺のホテルから
 
東大病院までラクに通える池袋のホテルへ移動。遊びはお終いです。
 
とりあえずはチェックインまで時間があるので荷物だけ池袋のホテルの預けて
 
一路、マヨと共に父のいる東大病院へ行くことに。
 
 
 

 
前日訪れた時に、唯一食べられる物が「お刺身」だと聞いていたので
 
池袋の東武デパートの地下で、マグロトロなどの盛り合わせを買う。
 
久しぶりに日本の食品を買いましたが、高いですね(^^;)

 
 
その後、丸ノ内線で「本郷三丁目」の駅前すぐのナチュラルローソンで
 
やはり父が食べられそうなプリンを購入。これで食後のデザートもバッチリ。
 
喉が塞がりかけているため、食事摂取量が著しく低下しているので
 
食べやすく、かつカロリーの高い物が必要なはずですからね。
 
 
 
「本郷三丁目」の駅から東大病院までは歩いて20分はかかるでしょうか。
 
マヨと二人。お酒クサイ体で徒歩20分はつらいです
 
病院入口からさらに奥の入院棟まで辿り着いた頃にはヘトヘトでしたが
 
我々、上海で暮らす夫婦には父に会える喜びの方が勝っていたのではと思います。
 
 


二人して病室に入ると、父は以前そうしていたように軽く左腕を上げて
 
 
「よおっ(・ω・)ノ」 
 
 
とマヨに元気そうな様子を見せてくれました。
 
本当は、娘の夫に病床にいる自分の姿など見せたくないはずなのにね。。。
 
マヨも父が不安になるといけないと思っていたのでしょう。
 
特に病気の話などはせず、上海の話や、仕事の話などして
 
明日にはすぐに上海へ戻るけど、空港へ行く前にもう1度来ることを約束して
 
夕方頃になると他の家族と顔を合わせそうなので我々は引き上げることに。
 
ふたりして病室を後にする際、父の
 
 
「おまえも帰るのか?」 
 
 
という私への言葉が切なかった。。。





その夜は、池袋で真ん中のダメ兄と食事。
 
これまでの経緯がまったくと言っていいほど分からないので
 
そういった話を聞くつもりが彼には話す気がないらしく
 
詳しい情報を求めても、のらりくらりと話を逸らされる始末です。
 
腹立たしい気持ちと、
 
彼らは本当に父の病気を把握していないし把握する気もない。
 
日本にいる家族の誰もが父の置かれる状況に対して
 
誠心誠意でないことが分かり、どうにもまた切なくなった夜なのでした。


 
 





くろパパとの時間。あと246日。
 


 





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9ヶ月ぶりの日本

 
 
2006年5月26日。くろパパと再会。
 
 
 
 
マヨ(ダンナ)が出張中なのをいいことに前日遅くまで飲んでいて
 
危うく朝10時の飛行機に乗り遅れそうになりました(;^_^A
 
無理矢理でも乗れてよかったです
 
 
 
午後、成田に到着。久しぶりに会う上司や友達へのお土産の他に
 
一応家族にも社交辞令で上海土産を用意したため
 (「手ぶらで来やがって。」とか言われたくないですからね)
 
スーツケースが2個にもなってしまいましたが
 
空港からそのまま父のいる東大病院へ、ガラガラと荷物を引きずり直行。
 
病室も分からずでしたが、案内係にうながされ父に会うことができました。
 
 
 
入院棟の10階。個室のベッドに横たわりテレビを見ていた父。
 
やはり私が来ることは知らされていなかったようで、ビックリしてました。
 
すぐにでも病状を聞き出したい気持ちではありましたが
 

久しぶりの娘との再会に、弱々しい身体を露呈しなければならない父の心中を考えると
 
それは得策ではないでしょう。。。
 
とりあえずは上海の話。今朝、飛行機に乗り遅れそうになり
 
上海の空港を猛ダッシュした話などで笑いをとってから病状の話へ・・・
 
 
 
 
 

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ムスメ。

《くろうさ》

くろうさ

上海生活3年生。専業主婦。


父。

《くろパパ》

くろうさの最愛の父親。

 

2007年1月逝去。61歳。

生前は経営コンサルタントに従事。

 

登場人物

《マヨ》

  くろうさダンナ 上海リーマン

 

《くろママ》

  くろうさ母親 乳ガン歴2回

 芸術家 着物デザイナー

 

《バカ兄》

  くろうさ3兄妹長兄 某出版社勤務

 

《ダメ兄》

  くろうさ3兄妹中間兄 某ベンチャー勤務

 

《おやびん》 元勤務先病院理事長

 

《姐さん》 元勤務先病院直属上司Dr.

 

 

用語解説

《パウロヴィッチ》

くろパパのカトリック洗礼名が「パウロ」

だったことから、なんとなく。

 

《穴》

くろパパの咽頭癌摘出後

喉仏の下、ちょうど両鎖骨の間に

直径約4cmほどの穴が作られ

肺と直結して呼吸をしていた、その穴。

 

《咽頭癌》

鼻の奥から喉にかけて位置する器官で

場所により上・中・下と分類されるが

くろパパは喉の部分の下咽頭癌。

 

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